新国立劇場 中劇場

喪服の似合うエレクトラ
作...ユージン・オニール 演出...栗山民也
出演...大竹しのぶ(ラヴィニア)/三田和代(クリスティン)/堺雅人(オリン)/吉田鋼太郎(アダム)/津嘉山正種(エズラ)/西尾まり(ヘイゼル)/中村啓士(ピーター)/池田直樹(セス)/丸林昭夫(舟歌の音頭取り)

ネタバレを大いに含む感想なので、これから観るという方は
読まない方が良いと思われます〜。
30日マチネ、シアタートーク、1日マチネの感想です。
・30日マチネ
下手の1番後ろだったので、ちょっと斜めだったかな。
見えなくてわからないところがあったわけではなかったので
観易い劇場だなーと思った。意外と小さかったし。
ギリシャ悲劇ベースってことで、話についていけるのか
めちゃくちゃ不安だったけど、それはかなりの杞憂だった。
すっごい面白かった!3時間45分(休憩含む)がめちゃくちゃ短かった。
昨夜ほとんど寝てなかったので、寝ちゃうかも…?と思ってたけど
ぜ〜〜〜んぜん眠くならなかった。舞台に引きこまれてた。
まず、三田さんが凄い!
どんな方か知らなくて、インタビューや写真なんかを見た感じで
ホワーとした感じの人なんだろうなーと思ってたんだけど
クリスティン、全然雰囲気が違う。出てきた瞬間からもう空気が違う。
大竹しのぶさんとのやりとりも凄い迫力。
女優のやりあいって、こういうのを言うんだ…って感動した。
正直、三田さん自身は特に綺麗な人だとは思わないんだけど(すいません)
クリスティンはとても美しい人だった。ホント凄い。
あそこまで変わるもんなんだね。
で、大竹さん。最初は、あ〜なんかちょっとな〜…うまいんだけど…
と毎回(っても今まで3回しか彼女の舞台を生で観てない)思うんだけど
なんだろうな―――…
舞台に選ばれた人って、こういう人のことを言うんだろうな〜と
納得させられてしまうんだよね…。ほんにこの人は凄い。
ラスト、ピーターが去った後のシーンは凄くドキドキした*1
その前の、ピーターとのやりとりは、
大竹さんがパワフル過ぎるのか、ピーター(中村氏)がパワー不足なのか
ちょっと何かズレを感じるのが残念。コントみたいになっちゃってる…。
一応目当ての堺さん。んー…まぁ、予想の範疇だったというか。
普通に良かった〜としか感想が…。のびのびやってるな〜と感じた。
神経がイカれちゃってる感じ、あの笑顔な顔面が仮面になってて
いい感じに出てたなー。マザコン&シスコン似合うね。
女優二人の印象が強過ぎて、(私の中で)ちょっと影に隠れちゃった。
ラスト、舞台装置が奥に引っ込んでいく演出、凄くいい!
めちゃくちゃ気に入った。
・30日 シアタートーク
場所を前の方に移動出来て良かった。
トークショーは、近くの方が雰囲気が掴めていいと思ってるので。
会場からの質問タイムは、堺さんがあまりにも憐れ過ぎた。気の毒に…南無。
舞台に関する話で、やっぱり大竹しのぶさんは凄いなぁ…と感動。
三田さんは、やっぱり想像通りの雰囲気の人だった。
クリスティンと差があり過ぎて凄いよ、本当に。ファンになってしまうよ。
年取るごとに舞台(に立つ事)が怖くなるって話はなんかリアルで良かった。
堺さんは、1番年下ってこともあって少年のようだった…。
右隣りに吉田さんと津嘉山さんがいたから余計にそう感じた。
お喋り好きなんかな。。。という仕草がチラホラ。
津嘉山さんが渋すぎてファンになりそう。いや、なった。
かっこ良過ぎる。素敵過ぎる。私ならアダムよりエズラだな。
吉田さんももちろんかっこよかったけどね。
司会がNHKのアナウンサーで、質問タイムの質問者への無情なツッコミに
何度か心が和らいだ。彼じゃなかったら、もっと変な空気になってたよ。
・1日 マチネ
前の方のド真ん中だったので、全体が綺麗に見渡せた。
ちょうど演出家がチェックするあたりじゃないかなぁ…場所的に。
昨日は角度があって伝わらなかった
舞台装置の意味するところに気付いた。
2幕から現れる居間の、真ん中にある出入り口の枠と
居間の上にかかっているマノン家の先祖達の肖像画の枠が
全く同じ色(たぶん素材も一緒だろうね)で出来てて
ラヴィニアやオリンがその出入口で立ち止まるシーンが何回かあって
ラヴィニア達も肖像画みたいに見えるようになるようになってて
それに気付いた時、ギョッとした。なんか怖かった。
結局ラヴィニアもマノン家の人間なんだ、って言ってるようで。
(ラストで、自分もそうだと、ラヴィニアも認めるもんね)
あと、昨日のシアタートークで栗山さんが
家の装置は、鳥の籠みたいな感じで作ったって言っていたけれど
私は、あの斜めの歪んだ家が、マノン家の人々そのものを
現してる感じがして気に入った。
演者さん達は、昨日の方が力入ってたように思った。
みんなカミカミだったしね。
また大竹さんの話。
カーテンコールの時、出演者ほぼ全員が
奥に引っ込んだ装置のドアから出てくるのだけれど
大竹さんが先陣を切って登場するのね。
席がど真ん中だったので、私の席の一直線上(いわゆる0番だっけ?)に
向かって歩いてくるわけなんだけど
その時の大竹さん、めっっっっっちゃくちゃかっこ良かった。
言葉では表せない存在感なの。
衣裳の喪服に身を包んで、ツカツカと歩いてくるだけなんだけど
かっこよ過ぎて、私は息が出来なかった。涙出てきた。
隣りで歩いている堺さんなんてもう眼中にないくらい
彼女のクギ漬けになってしまったのよ。
この人は舞台に立つために生まれてきたんだ。
と何かわからない大きな力に納得させられてしまった。心の底から。
やー…本当凄いわ。
あの小さい身体のどこからあの存在感が出てるんだろう。
今回観にきて本当に良かった!
女優の闘いが良いです。今からでも遅くはない!
当日券に行ける人は是非観に行って欲しいな〜って
ここに書いても仕方ないか…読んでるのは観た人ぐらいだろうね。
あ〜それと、カーテンコールの2回目だったかな?
吉田さんが間違えて1人帰りそうになってたのにはちょっと笑った。
堺さんもそれ見て笑ってたっす。
帰り、扶二人肩くんで帰ってたですよ。
あ、まだ書き忘れてた。
ヘイゼル役の西尾さん、ちょっと役不足のような…。
西尾さんでなくても、良かったんじゃ?と思ったり。
彼女なら、もっと変わった役の方がいいんじゃないかなー?と思った。
ヘイゼルじゃ勿体ない気がした。
声の出演に浅野さんや梅沢さんがいたのがちょっと嬉しかった。

*1:トキメキとか、恐怖とかじゃなくて、「私は今凄いものを見ている」とい胸の高鳴り?